刑法犯最多「江戸川」の苦悩  「新宿」を追われた犯罪集団流入

 警視庁が公表している「警視庁の統計」(2001年度版)。警視庁が毎年管内で発生した事件・事故の実態をまとめたもので、いわば警視庁版「犯罪白書」だ。

 そこには、警察署別の刑法犯の罪種別認知・検挙状況、児童買春法や酩酊者規制法といった特別法犯の法令別送致状況、犯罪少年(刑法犯)の検挙人員など、首都東京の詳細な犯罪の有り様が凝縮されていると言っていい。本誌は警察署76署ごとに集計された膨大なデータを、都23区に集計し直してみた。警察署ごとのデータでは、我々が住む町の治安状況が見えてこないからだ。身の周りの犯罪を鮮明に浮かび上がらせるには、区ごとの詳細な数字を再構築させる必要があった。すると、その結果からは、従来の街のイメージからは遠い、意外な顔が見えてきた。犯罪が多い町で最初に思い浮かぶのは不夜城・新宿だ。だが、刑法犯件数(発生件数)でみると、新宿区は4位なのだ。殺人や強盗といった凶悪犯罪は大きく報道される。それに比べ、引ったくりや空き巣といった街頭犯罪・侵入犯罪は被害が小さいかのように誤解されている。現実には生活の場で発生する身近な犯罪の増加こそが深刻なのだ。
 江戸川区のJR小岩駅を挟んで、私立の女子中・高が2校ある。その女子中・高たちが眉をしかめるのは、駅前の景色である。風俗店やラブホテルなどが林立し、客引きが後を絶たない。

 丸の内のオフィス街に勤める20歳代のOLは小岩へ帰宅するとき、秋葉原駅でいったん降りて、小岩駅までマイカーで迎えに来てくれるよう、母親に連絡している。
「夕方以降、駅前は女性ひとりでは通れない。本当に怖いです。」小岩駅界隈の治安が悪くなってたのは4、5年前からだ。そして、今や、江戸川区は統計上、東京23区のうちで最も危険な街になった。人口密度では23区中16位と下位だが、刑法犯件数は1万7114件でトップ。殺人、放火、強姦、障害、侵入窃盗、詐欺、強制猥褻、少年犯罪などの件数も多い。

恐喝の141件と乗り物盗の6439件は1位だ。

 江戸川区には小松原、葛西、小岩の3警察署がある。小岩署がまとめた昨年、一昨年の「管内犯罪発生状況」によれば、殺人は一昨年3件だったのに対し、昨年は5件。強盗も15件(一昨年)から17件(昨年)に増えている。空き巣にいたっては249件(同)から一気に408件に激増。自転車盗も975件(同)から1179件に増加。
 さらに「町丁別の罪種別発生件数」によると、西小岩1丁目、南小岩6、7、8丁目の地域では97年には凶悪・粗暴犯が31件だったのに対し、2002年は71件。侵入窃盗は107件から124件に。非侵入窃盗は781件から1061件に急増している。

 捜査関係者は、こう分析する。

「新宿で犯罪行為を行っていたグループが、組織から新宿を追い出され、小岩界隈に流れて来ている」
 小岩は総武線を使えば新宿から乗り換えなしで行ける。物価、家賃も安いうえ、住民は新宿などに比べ、警戒感がない。

YomiuriWeekly 2003.4.27 より
 
あふれる犯罪! 今こそ地域の見直しを進めよう!
 
※「警視庁の統計」(2001年版) 
  によるデータ

島村かずしげ事務所 まとめ

     


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