策定の意義
江戸川区は、65万人の人々が暮らす全国有数の大都市である。首都圏の中心に位置し、水と緑の豊かな環境に恵まれるとともに、5本の鉄道をはじめ、高速道路、幹線道路の設備が進み、都心まで15分ほどという便利なまちとして注目されている。この姿は、区民と区が力を合わせ、永年かけて築き上げてきたものである。その歴史の中で、良きコミュニティと郷土愛が育ち、各地域でわがまちを守り育てる様々なイベントが繰り広げられるなど、活発な活動が展開されている。そして、いま新長期計画のもと、共育・協働・安心へのまちづくりの道を歩み始めたところである。
そうした理想のふるさととして発展しつつあるが、その中で、憂慮すべき事態が発生している。それは、急速な都市化とともに、都市型の犯罪が急増し、区民の暮らしを脅かしていることである。特に、区内各駅の繁華街を中心に、外部から犯罪者が入り込み、被害が多発している。
犯罪の増加については全国的な傾向であり、平成8年以降、連続して戦後のワースト記録を更新したほか、かつての60%前後であった検挙率も平成14年は20.8%と深刻な状況となっている。その傾向は江戸川区においても同様であり、平成14年中の区内の犯罪総数は17,767件と23区で最も多い数となっている。その特徴をみると、自転車などの乗り物盗が6,658件、空き巣などの侵入盗が1,911件のほか、ひったくりなどの街頭犯罪が目立っている。また、多くの子ども達が分化・スポーツの様々な分野で活躍しているが、一方では少年による犯罪の多さも見逃すことはできない。
こうした事態に対して、町会・自治会、環境をよくする地区協議会、青少年育成地区委員会、保護司会、PTAなど、各種の団体が自主的な防犯への取組みを進めている。江戸川区は、区民と区、関係機関が力を合わせて多くの困難を克服してきた歴史がある。いま、そうした歴史と時代の変化を踏まえ、これまでの運動を基盤として、ここに「江戸川区安全・安心まちづくり運大網」を策定し、区民が日々安全で安心して暮らせるまちづくりに総合的に取り組むとともに、地域での防犯の取り組みを拡大していくこととする。